Borderhill

開発秘話

昔から疑問を感じていた事があります。
鍼治療では鍼を体内に刺すため、衛生・安全はとても重要な項目となります。
そのため先生方は、必ず手を消毒してから治療に入ります。
治療時は消毒した手で鍼パックを開封し、その手で鍼を取り出します。
ちょっと待って!?
鍼パックに触れたら、手に雑菌が付着するのでは?
その手で鍼を取り出したら、鍼は汚染・感染するのでは?

鍼パック開封機は、この疑問を解決するために開発されました。

2006年4月、学生起業家選手権に
「鍼治療の質(衛生面・安全面・作業面)を向上する鍼パック開封機の開発」を
テーマに応募しました。
そして、同年10月に優秀賞を受賞しました。
この賞がなければ「鍼パック開封機」は開発しなかったと思います。

同年11月、試作1号機が誕生しました。
まだ鍼パックを開封する構造ができた段階です。
型を起こさず切削加工にしましたが、それでも高額でした。
世の中の人は、形ができるとほぼ完成かと思われがちですか、
とても完成には程遠い状態です。
しかし、大きな一歩を踏み出しました(この時は無我夢中でしたが、
今思うと「良くやれたなあ」と感心しています)。
これが完成すれば、鍼の汚染・感染・落下・紛失を防止できます。
挿入番号を付けたことで、鍼の抜き忘れも防止できます。

それから1年半経った2008年5月、試作2号機が誕生しました。
随分時間が経ちました。決して諦めたわけではありません。
「さかい鍼灸整骨院」の開業もあって、中々開発に着手できなかったのです。
改良に改良を重ね、思い切って20本用を製作しました。
1号機同様の切削加工で、形状も大きくなり、更に高額でした。
10本も20本も同じと思うかもしれませんが、全然別物です。
しかし、20本用ができれば10本用は比較的容易です。
この段階では鍼パックの紙側を挟む力が弱く、上手くいきませんでした。
紙は薄くて、破れやすく、滑りやすい、意外と厄介者なのです。
2008年10月、試行錯誤の上、ローラー部の改良に成功しました。
鍼パックを強力に挟む構造にすることができました。

2009年1月、漸く試作3号機が誕生しました。
市場調査の結果、ローコスト化するために板金加工とし、
また必要最小限の機能にしました。
10本開封します。大幅に改良し、ほぼ完成形になりました。
しかし今度は鍼パックの樹脂(プラスチック)側が開封時外れてしまいました。
紙より樹脂の方が滑りやすいことは知っていましたが・・・
鍼パックは、鍼パック開封機に挿入するときは滑りやすい方が挿入しやすく、
開封するときは滑らない方が開封しやすいのです。
この矛盾をどう解決すればいいのやら・・・
一難去ってまた一難、苦悩しましたが、
無事改良することができました(解決策は極秘事項なので省略します)。
細かい修正はありますが、何とか6月発売に間に合いそうです。

2009年4月、試作4号機が完成し、再チェック。
2009年6月、量産可能な構造とし、
漸く量産1号機「型式:UN-110M」が誕生しました。
1台ずつの手作りになりますが、医療の質の向上に向けて発売開始します。
一歩前進です。

さて、型式UN-110Mには意味があります。
「開封する」を辞書で調べるとunseal,openでしたので、
unsealからUN、世界初の1に10本用から110、
機械式machineからMとしました。
ここで、機械式のMを付けたことから分かると思いますが、
電気式electricityのEタイプも検討していました。
しかし現段階では開発コストが非常に高く、残念ですが断念しています。

ところで以前からご指摘ありました「価格が高い」「形状が大きい」について、
試作4号機が完成したころ、名案が浮かんでしまいました。
鍼パック開封機には劣りますが、
低価格・省スペース化した鍼スタンド「型式:S-150P」です。
この製品も使用するだけで鍼治療の質(衛生面・安全面・作業面)を向上します。
鍼パック開封機がベースにあるためですが、
わずか1ヶ月足らずで開発できてしまいました。
価格の面から、鍼パック開封機は病院などに、
鍼スタンドは一般の治療院の先生方に適していると思います。
是非、製品の必要性を感じて欲しいです。

本当に苦労の連続でした。
漸くここまで来ましたが、まだスタートしただけなのです。
今後も日々精進して参ります。
鍼パック開封機だけでなく弊社製品は医療の質を向上するもので、
鍼灸治療を受診する患者さんのためになりましたら
開発した甲斐があり、誠に嬉しい限りです。

以下にこれまでの試作品を紹介しますので、ご参照ください。

<試作1号機> 2006年11月製作
・一度に8本まで開封します。
・鍼の種類(長さ・太さなど)は問いません。
・使い方は@鍼パック挿入、A赤いレバーを押し、Bローラーを回転する
 だけです。
・挿入番号で開封数が分かります。
・鍼・消毒綿花などを入れるシャーレ(2ヶ所)が付いています。
・板金加工と切削加工で製造しました。




<試作2号機> 2008年5月製作
・一度に20本まで開封します。
・鍼の種類・使い方・挿入番号・加工方法は試作1号機と同様です。
・鍼灸用品を入れる小物入れと、シャーレになる蓋が2セットずつ付いて
 います。取り外し可能です。




<試作3号機> 2009年1月製作
・一度に10本まで開封します。
・鍼の種類・使い方・挿入番号は試作1号機と同様です。
・前面にロゴ「Borderhill」を付けました。
・小物入れや蓋はコスト削減によりなくしました。
・板金加工のみで製造しました。




<試作4号機> 2009年4月製作
・仕様は試作3号機と同様です。
・変更内容は、
  取手を握りやすくしました。
  台を白色にしました。
  挿入番号の開封前(上図)を水色にしました。
  内部も多数変更しました。




<量産1号機> 2009年6月製作
・仕様は試作3号機と同様です。型式は「UN−110M」です。
・変更内容は、
  取手のデザインを変更しました。
  ローラーを白色にしました。
  挿入番号の開封前(上図)をオレンジ色にしました。
  サイドのバンドをオレンジ色にしました。
  内部を製造(加工・組立)しやすい構造に変更しました。





潟{ーダーヒル
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